東京高等裁判所 昭和33年(ネ)1242号 判決
当裁判所は更に検討の結果原判決と同一の理由により控訴人の本訴請求を失当として排斥すべきものと判断したので、原判決の理由の説示を引用する。なお付言するに、法務大臣のなす特別在留許可は、元来強制退去処分を受けるべき者に対し、法務大臣の判断によつてその者の在留を特別に許可する、いわば請求権なき者に利益を付与する処置であつて、右処置をなすにつき法律上これを覊束する規定は見当らないし、しかも外国人の入国及び在留の許否は国際慣習上条約のない限り当該国家の自由な判断に委ねられていることから見ると、右特別在留許可は法務大臣の自由裁量によつて決定し得べきものであると解せられる。従つて裁判所が右特別在留許可の当否につき判定を加えるべき限りでないし、又控訴人主張のような事情があつたとしても、もとよりこれをもつて法務大臣が特別に在留を許可しなかつたことにつき、その自由裁量権の範囲を逸脱し或は裁量権を濫用したものとは言えない。
しからば、控訴人の本訴請求を棄却した原判決は正当であつて、本件控訴は理由がない。
(二宮 奥野 大沢)